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在留特別許可とは、法務大臣が退去強制事由に該当する外国人(オーバーステイの方など)に対して、 その外国人の事情を考慮し、特別に在留を許可する制度をいいます。(入管法50条) |
許可要件 |
法務大臣は、退去強制事由に該当するとの特別審理官の判定に対する異議の申し出が理由がないと 認める場合でも、次の各号一に該当するときは、その者の在留を特別に許可することができます。 (入管法50条)
1.永住許可を受けているとき
2.かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき
3.その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき
問題は、上記3の「特別に在留を許可すべき事情」とは具体的にどのような事情を言うかです。 一般的には、在留を希望する方の経歴や家族関係等の個人的事情だけではなく、国際情勢、 送還事情及び内政外交政策等をも総合的に考慮のうえ決定されるものであると解されています。 |
1.日本人や永住者と婚姻をしている場合 |
・婚姻が偽装でないこと ・安定した婚姻生活を営んでいること ・素行が善良であること ・許可の必要があること
以上の用件をクリアすれば、許可の可能性は大きいといえます。 (その他のケースについても、これらの用件が基本的には妥当します。) |
2.一定期間日本人に在留している場合 |
夫婦で在留10年ぐらいが一つの目安となり、学齢期の子供がいて日本語しか話せないなどの場合は 人道的見地から許可されることもあるようです。独身者の場合は、かなり難しいと思います。 |
1.入荷に出頭し、違反事実を申告する。(これを出頭申告といいます) |
ただし、必要書類を揃えるなど十分に準備してから出頭する必要があります。 出頭した際には、必ず「日本での在留を希望しますので在留特別許可の審査をして下さい」と お願いする必要があります。 |
2.入国警備官の違反調査(入管法27条) |
入管法24条に規定する退去強制事由に該当するかどうかを判断するために、関係者の取調、自宅訪問や 自宅周辺の調査などを行います。 調査の結果、退去強制事由に該当すると疑うに足りる相当の理由があるときは、その外国人を収容する ことができます。(入管法39条)
しかし、日本人と婚姻しているオーバーステイ外国人については、ほとんど収容は行われていません。 実務的には、書類上収容した形式をとり即時に仮放免をするという方法をとっているようです。 仮放免の許可の条件として保証金の納付が必要で、入管法54条は、300万円を超えない範囲で 決めるとしています。通常、婚姻関係の場合は、30万円以内くらいだそうです。 仮放免の条件として住居指定、行動範囲の制限や1ヶ月に1回入管に出頭することが義務付けられて います。(入管法45条) |
3.入国審査官の違反審査(入国法45条) |
ここでは、入国警備官の違反調査の結果を審査し、退去強制事由の該当性の有無を認定します。 該当性ありとの認定に対し、意義がある場合は、その旨の通知を受けた日から3日以内に特別審理官に 対して、口頭審理の請求をすることができます(入管法48条) |
4.特別審理官の口頭審理(入管法48条) |
ここでは、入国審理官の認定の当否を、当該外国人の口頭による弁解等を聞き審理します。 退去強制事由の該当性の有無について第二審として審理を行うものです。 退去強制事由に該当するとの判定に異議があるときは、判定の通知を受けた日から3日以内に、 法務大臣に対して異議を申し出ることができます。(入管法49条) |
5.法務大臣の裁決(入管法49条) |
これは当該外国人が、退去強制事由に該当するかどうかについて第三審(最終審)として審理を おこなうものです。この段階になって初めて在留特別許可を出すかどうかが問題になってきています。 (入管法50条) |
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在留特別許可は、退去強制手続きの一環として法律上例外的に位置づけられていますので、 このように長い道のりを経て、しかも前述の許可要件をクリアした場合に限り、取得することができるの です。
なお、入管に出頭してから取得までの期間は、通常1年以上ですが、最近は審査期間が短縮され 「特に問題のないケース」では、3カ月〜4カ月で出る場合が増えているとのことです。
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